「木固めエースの一番のよさは表面をなめらかにすること。 木のカトラリーをを作るときにはこれが必須です」(コバヤシユウジさん/M.W.C.WORKSHOP代表)
コバヤシユウジさんは長野市郊外に工房をかまえる木工家。器やカトラリーを中心とした作品の大半に木固めエースを使っています。採用の理由と評価ポイントをお聞きしました。
Q.15年以上、木固めエースを愛用されているそうですね。
はい、独立する前、家具工房で働いていたころから使っています。木固めエースのことは『手づくり木工事典』という木工専門誌で知りました。生木で器を作ろうというページで、木の狂いを防ぐ塗料?として木固めエースが推奨されていたんです。
独立を目指し、木のカトラリーを作ってみようと思っていた矢先だったので、さっそく試してみました。木固めエースは、オイルだけで仕上げたときよりも作業効率が断然よいし、摩耗にも強い。価格、性能、使い勝手のバランスのよさでは木固めエースを上回る下塗り材はないと思います。食品衛生法の基準をクリアしているから、お客さまに自信をもってすすめられるのもポイントですね。
Q.どんなアイテムに木固めエースを使っていますか?
カトラリーだけでなく、ブックスタンドやテーブルにも使っています。当初はカトラリーや木の器の耐久性アップのために使いはじめましたが、オイルやワックスだけで仕上げたときより、表面のなめらかさがまったく違うんです。とくにカトラリーには欠かせません。人間のくちびるは指先以上に敏感ですから。
器に関していえば、狂いを防ぐ効果も多少あるようです。同じ木で作った器を、オイルだけ、木固めエース併用で仕上げて違いを検証したことがあります。そのときオイルだけで仕上げた器は少し反ってしまいました。もちろん、個体差や使用環境のせいもあると思いますが。
Q.仕上塗装にワックスを使っているのはなぜですか?
メーカーは専用のウレタン塗料(仕上げクリアー)で仕上げることをすすめていますよね。私も以前はウレタン塗装をしていましたが、いまは木固めエースを2、3回重ね塗りしたあとにワックス塗って仕上げています。理由は単純でウレタン塗装の過剰なつやが好きじゃないからです。それにワックスだと、お客さまが自分で手入れをすることができますしね。
ただし、木固めエースとワックスの組み合わせは、樹種を選ぶ必要があるなというのが私の印象です。チェリーやウォールナット、メイプルなどの散孔材は相性がすごくいいのですが、環孔材はワックスが乾きにくく、あまり相性がよくありません。仕上塗装は試行錯誤をくり返していて、いまは木固めエースと水溶性のガラス塗料を組み合わせたアイテムも一部制作しています。
Q.木固めエースをはじめて使う人へアドバイスをお願いします。
木固めエースはウエスやどぶ漬けでも塗れますし、失敗してもシンナーではがすことができます。神経質にならず、どんどん試してみて自分なりのやり方を見つけるのがいいと思いますよ。あとは当然のことですが、手袋をきちんとして、換気をして、塗ってから最低半日以上は乾燥させるように気をつけてください。
Profile
コバヤシユウジ◎1973年長野県生まれ。大学卒業後、京都のインテリアショップで注文家具製作に従事。
1999年に長野市へ移住。2001年に「木の生活道具/MWC.WORKSHOP」を設立。クラフト展での入選多数。
ホームページ:http://www.mwcworkshop.com/