木材の狂い、上塗り塗料の吸い込みを防ぐ下地用塗料
「木固めエースECO」は浸透型・湿気硬化型のウレタン樹脂塗料です。木材の内部にすばやく浸透、木材組織のわずかな水分と重合反応して硬化します。硬化後は人体に無害なポリウレタン樹脂に変化します。
木固めという言葉は、漆器作りの「木地固め」という工程に由来します。湿気や温度変化による木材の反りや割れを防ぐとともに、中塗り・上塗り塗料の吸い込みを防いだり、木地表面を平滑にするのに役立ちます(木材そのものを硬化させる働きはありません)。
一般的なウレタン樹脂塗料とは異なり、木材表面に塗膜を形成しないため、防水の目的ではおすすめいたしません。汁椀やカップ類など、水を溜める容器に使用する場合は、必ず上塗りを行ってください。ホビークラフト用ですが、性能は業務用の木固め剤(プレポリマーシリーズ)と大差ありません。
トルエン、キシレン無配合。ホルムアルデヒドの最も厳しい環境基準F☆☆☆☆認証を取得
木材は一般的に多孔質かつ親水性で、水分を吸うとふくらみ、乾燥すると水分を放出して縮む性質があります。これが木材の長所でもあり、短所でもあります。膨張と収縮をくり返すことで、木材は変形や割れ(あばれや狂いともいう)が生じます。
木固めエースは木材の親水性を低下させ、木材軟質部を強化することを目的に開発された、含浸性のポリウレタン樹脂塗料です。見た目はやや粘りのある液体で常温常圧でも浸透性が高く、漆のように木材の内部までしみ込みます。
しみ込むと細胞壁の成分(セルロース)や水分と重合反応して2~3時間で硬化します。その結果、木材の細胞壁や導管が強化され、耐水性が得られるのと同時に、湿気や温度変化による木材の狂いを防ぐことができます。固まると無色透明の樹脂となり、人体に無害です(食品衛生法の食品、添加物等の規格基準にも適合しています)。
こうした特徴から木固めエースは、木の器やカトラリーに適した塗料として長年支持されてきました。また、スギやカラマツなどの軟材を、本来の弾力性を損なわない程度に強化できるため、針葉樹の家具作りにも適しています。
木固めエースECOは、溶剤の一種であるトルエン、キシレンを含有していない環境配慮型の塗料で、2018年9月に発売されました。「食品衛生法・食品・添加物等の規格基準」の規格をクリアしているほか、ホルムアルデヒドの最も厳しい環境基準であるF☆☆☆☆(フォースター)も取得しています。価格、性能、施工性は従来モデルと変わりません。
木の器やカトラリーの場合は、ステンレスのボウルやポリエチレンのビニールに本製品を注ぎ、溶液の中に器物を数分間浸すと、1回で含浸させることができます。テーブルなどの家具の場合は、刷毛で塗り重ねてください。木固め剤の粘り気が強く、スムーズに塗れない場合は専用シンナーで希釈してもかまいません(従来タイプの専用シンナーと組み合わせても使えます)。
本製品をはじめて使用される方は「木固めエースの塗装方法」をあわせてごらんください。
- 目的
- 木材軟質部の強化(変形防止および耐水性向上)
- 分類
- 湿気硬化型ポリウレタン樹脂塗料(1液型)
- 希釈(配合)割合
- シンナー調合済みのため希釈は不要。ただし溶剤揮発が顕著な場合は専用シンナーで希釈
- 標準塗装仕様
- 常圧浸漬(ドブ漬け、または刷毛・ウエスで塗布)、木材含水率8-15%を推奨
- 塗布量目安(平米毎)
- 杉の辺材で平米あたり0.2~0.3kg(樹種、部位、含水率で変動)
- 鉛筆硬度
- F-H
- 可使時間
- 2〜3時間
- 乾燥時間
- 常温で5〜6時間
- 使用期限
- 未開封時:約1年6か月、開封後:半年以内の使用を推奨
- 成分表示
- 酢酸エチル・酢酸ブチル
- 検査適合基準
- 食品衛生法:器具・容器包装規格(370号)に適合
- 適用法令
- 消防法危険物(第4類第1石油類)、有機溶剤中毒予防規則(第2種有機溶剤等)
- 登録番号
- K45001(一社・日本塗料工業会登録番号)